お知らせ

【外部発表のご紹介】多職種のチームで連携し、症状の悪化を防ぐことができた症例

日々提供するリハビリテーション医療がより良いものとなるよう、様々なテーマで各職種が研鑽に努め、学会などでの外部発表などに取り組んでいます。本日はその一例として当院の看護師(所属は研究当時)が発表した「 NICD(生活行動回復看護) 」をテーマとした演題をご紹介します。多職種のチームで連携し、症状の悪化を防ぐことができた症例について報告しています。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 肺野への微振動を与えることの効果について ~重症肺炎にチームで取り組んだ一症例~   吉田実紅(京都大原記念病院 看護師)※研究当時の所属 第14回日本ヒューマン・ナーシング研究学会 2018年10月   はじめに 重症肺炎、無気肺※1を発症し人工呼吸器を装着された患者Aさん(50代後半・男性)に対し、肺本来の機能や仕組みの復活を期待し、肺への微振動を実施しました。今回はNICDを導入し、看護計画にもとづいて気道の浄化を積極的にし、また療法士との呼吸理学療法や、多職種チームでのアプローチを実践したことにより症状の悪化を妨げた症例を経験しましたので報告します。 生活行動を自立へと導くNICD(生活行動回復看護) 患者様のできることを引き出す 症例は当初、脳出血後遺症のリハビリテーション(以下、リハビリ)を目的として入院されましたが、胆のう炎を併発したことから、一時転院となり、治療を経て再度リハビリ目的で入院されました。再入院当時、両側肺炎、無気肺※1となっていたことから、人工呼吸器を装着することとなりました。主治医からは薬物治療、呼吸理学療法と同時にNICD※2開始の許可が出ました。 NICD※2導入にあたり、まず患者家族へは技術の内容と何らかの悪化のきざしを認めた場合はただちに中止し、主治医が対応することを説明、同意を得て、2017年4月~2017年8月の間に実施することとしました。 個別メニューを作成し、NICD※2研修を受講した看護師を中心に理論や実技について病棟内の他スタッフを指導、共有し、統一してできる準備をしました。リハビリを実施する時間を固定し、呼吸理学療法の研修を受けた、もしくは実施経験のある療法士によるリハビリとNICD※2を1日のケア計画の中で効果的に実施できるよう調整しました。受持ち看護師が主体となり、複数人のスタッフで呼吸状態等に注意しながら実施するなど安全面に配慮しながら取り組みました。 安全に最大限配慮し、 バランスボールを用いて微振動を実施 具体的な個別メニューは以下の通りです。 バランスボールを用いて、股関節や骨盤底筋群※3を柔軟にした後、頭の位置を調整して体幹の並びを整え※4、座る姿勢への体位変換の準備をする(図1) [caption id="attachment_285" align="alignnone" width="300"] 図1[/caption] 胸郭運動に必要な胸の筋肉にバランスボールを用いた微振動により刺激を与える(図2) [caption id="attachment_286" align="alignnone" width="300"] 図2[/caption] 半腹臥位に変え※5、バランスボールを用いて背中から微振動により刺激を与える(図3) [caption id="attachment_287" align="alignnone" width="300"] 図3[/caption] 3.の姿勢で、足の裏へも同様に微振動を行い脳へ刺激を与える(図4) [caption id="attachment_288" align="alignnone" width="300"] 図4[/caption] 入院時、A氏は両側肺炎と無気肺※1の状態で他の呼吸疾患も併発されていました。当時の検査では、白血球数が異常値(WBC※6 12,400/µL・成人の基準値:4,000~9,000/µL)を示し、また必要な栄養素が不足している状態(アルブミン値2.7・低栄養)でした。 入院3日目からNICD※2の介入は入院3日目から開始し、療法士による呼吸理学療法と同時にバランスボールによる微振動を実施しました。 入院5日目には個別メニューを作成し、病棟スタッフ間で共有し、以降は毎日実施しました。 こうした経過を経て、入院8日目には無気肺※1が改善され、2週間目には人工呼吸器を離脱、インスピロン※7へ変更することとなりました。この時点での白血球数(WBC※5 )7,200/µL、アルブミン値 3.2、血中の酸素濃度を示すSpO2 は100%となりました。白血球数、血中の酸素濃度はいずれも正常値内。栄養状態も低い水準ではありましたが改善が見られました。 苦手意識もあったが、正しく状態を理解し、 チームでアプローチした結果状態は改善 呼吸には基本的に重力に拮抗した姿勢(直立)を保つことが一番いいとの報告があります。寝かせきりになると呼吸機能の低下は避けられません。今回のように人工呼吸器を装着されている場合などは特にできるだけ背面 を支持しない空間をつくることが呼吸を助けることになります。 また、急激に状態が悪化した時に呼吸ケアを早期、かつ様々な職種がチームとして介入することで、たとえ人工呼吸器装着となっても早期の離脱や二次的障害発生率が下がり、入院日数の短縮が図れたとの報告もなされています。 これまでは人工呼吸器に対し、苦手意識や体を動かすことへの恐怖があり積極的に介入できませんでした。しかし、今回の症例では看護師が中心となって状態を理解し、早期段階から背部への微振動や、療法士らと協同で呼吸理学療法を実施できました。その結果、酸素化が良好となり、痰の排出を促すことで気道の浄化を効果的に行うことができました。また、経鼻チューブからの栄養投与を続けたことで栄養状態が改善し、水分補給もできたことで痰がベタつかず吸引しやすい状態であったことから気道を清潔にすることが出来ました。 治療の効果に加え、早期介入により、血液に酸素が取り込まれやすくなり、無気肺※1の改善と約2週間での人工呼吸器離脱を果たすことができました。チームで集中的に介入し、的確に呼吸状態を観察、評価しながら、呼吸の介助とNICD※2を計画的に実践したことが状態の改善につながったと考えています。 より一層、チームで取り組む NICDの実践へ 看護師は患者の身体の仕組みを知ったうえで障害された機能を代償する・改善できる方法を探します。保健師助産師看護師法では、看護師の業務は「 診療の補助と身の周りの世話 」とされています。これをどのように行うかは自分たちがしっかり考え、実践しなければなりません。私たち看護師の目や手はそれを見つけ、手当てするためにあります。今後、ますますNICD※2により身体の状態が改善され、苦痛から解放される患者さんを増やしていくためチームで取り組んでいきたいと思います。   抄録はこちら ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※1:無気肺 空気をうまく取り込むことができず、肺がつぶれてしまっている状態   ※2:NICD(Nursing to Independence for the Consciousness disorder And the Disuse syndrome PAtient) 看護手技の一つで患者の生活行動回復看護と定義されています。主に寝たきりや、廃用症候群の患者様の身体的変化を生理学的、病理学的視点からアセスメントを行い、生活行動を自立へと導く、いわば患者様のできることを引き出すことを目指す看護です。   ※3:骨盤底筋群 骨盤を覆うように骨盤の底部分に位置する筋肉   ※4:体幹アライメント 姿勢分析や動作分析などを行なうときの指標・評価の対象。体幹アライメントの失調とは体幹(脊柱)にねじれや左右差があり垂直ラインが乱れている状態。麻痺側の筋緊張の低下から非麻痺側での過剰努力による固定が強まり、左右差がみられる。このために上手く非麻痺側上肢が使えず車椅子の自走や食事がとれなくなること。   ※5:半腹臥位 抱き枕に覆いかぶさるような姿勢(イラスト参照)。人工呼吸器を装着されていたため、体位変換は2人以上で行い気道確保の確認、気管挿管チューブの深さや位置、患者の表情や状態を確認しながら、同時に吸引の準備もして行いました。   ※6:WBC(white blood cell) 白血球数。個人差が大きく、また同じ人でも1日のうちに数値は大きく変動するが異常値時には様々な疾患が考えられる。高値の時に考えられる疾患に肺炎などがある。 (参考)基準値 成人 4,000~9,000/µL 小児 6,000~10,000/µL 幼児 6,000~18,000/µL 新生児 9,000~25,000/µL   ※7:インスピロン ベンチュリーマスクのことで、マスクのように装着して使用します。一定の酸素濃度を維持しながら酸素を送ることができる機器となります。

続きを見る

滋賀県草津市山田学区社会福祉協議会の皆さまが視察にご来院されました。

滋賀県草津市山田学区社会福祉協議会の皆さまが京都大原記念病院へご来訪され、農業をリハビリテーションプログラムに組み入れたグリーン・ファーム・リハビリテーションⓇの視察をされました。   琵琶湖岸に位置する同地区は人口7,800人ほど、高齢化率約30%と高い水準にあります。地区内の集まりでも「健康をどのように維持していくか」は常に話題にあがるそうで、ご来院の皆さんも積極的にウォーキングなどの運動に取り組まれています。しかし同時に、健康を維持していくうえでは運動だけでなく「社会参加も大切」とよく言われます。同地区は農業を営む方の多い地域であり、そうした側面で農業を関連付けていくことができないかと考え、当院の取り組みにヒントを求めて今回の視察に至りました。   当日はグリーン・ファーム・リハビリテーションⓇを担当する木村彩香医師(京都大原記念病院 神経内科)、作業療法士、農地運営スタッフらがご一行を案内しました。   農業が本職の方も多く、実っていたエンドウマメを手に「これはゆがいて食べるととてもおいしい」など会話を弾ませながら、当院での取り組みを視察されました。参加された方からは、「特別なことでなくとも、種をまくところから、育て、調理し、食べるまで自然の流れを感じながら、楽しく健康を維持できればそんな素晴らしいことはないね」と共感のお言葉もいただきました。   地域事情を交えた意見交換に、当院としても学ばせていただく機会となりました。このような交流も大切に、取り組みを発展させていくことができればと思います。

続きを見る

【看護の日特集-若手看護師の想い-】 あの時わたしにできたこと

5月12日は近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ制定された「看護の日」でした。看護の心、ケアの心、助け合いの心をだれもが分かち合い、育むきっかけとなることを目指して制定されました。 今回は、この日にちなみ京都大原記念病院の回復期リハビリテーション病棟で日々奮闘する若手看護師に、印象深かった経験についてふり返ってもらいました。ぜひご覧ください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私が看護師となって2年目のある日、担当していたY氏(当時80代・男性)を看取りました。Y氏は肺炎後の廃用症候群※1で入院され経鼻栄養をしていました。奥様の待つ自宅に帰る事を目標にリハビリに励まれた結果、退院日が決定しました。Y氏も「やっと帰れる」と満面の笑みをこぼされました。 しかし、退院日が近づくにつれY氏は食事の量が減り、徐々に状態が悪化してしまいました。退院予定日を迎えましたが状態が悪く延期となってしまいました。その日私は日勤でY氏を受け持ちました。Y氏はあの日の笑みが嘘かのように不安そうな表情をしていまいた。手にはナースコールを必死に握りしめスタッフを呼び「怖い、寂しい、しんどい」と一生懸命に気持ちを伝えてくれました。状態が悪化してから家族の面会はありませんでした。私はこの日の数時間でY氏に死が迫っている事を感じ、何度も何度も訪室しY氏の顔を見て、体に触れて、声を掛けました。Y氏にどう接して良いか分からなかった私にはそれだけしかできませんでした。夕方Y氏に努力呼吸※2が見られました。私はY氏の横に座り、手を握り「大丈夫、大丈夫。みんないるからね。Yさんがんばっているから大丈夫よ。」と声を掛けその後も「吸って、吐いて」と声を掛け続けました。私は先輩看護師に言われ日中の様子を記録に残すためその場を離れました。その数分後Y氏の呼吸は停止最後を看取る事が出来ませんでした。 最後まで一緒にいて手を握ってあげる事、家族と最後に会わせてあげられなかった事色々な想いが1年経った今でも私の中を巡っています。寄りそう看護を続けるなかで分かることもきっとあると思います。この経験も経て、より一層日々のコミュニケーションを大切にしたいと考えるようになり、今も心がけて看護にあたっています。これからも患者様に寄りそう看護を目指してがんばって行こうと思います。 京都大原記念病院 看護師 S ※1:廃用症候群 寝たきりや病後の安静(骨折後のギプスなども)などで活動性が低下することにより、自分で思うように動くことができなくなるなどする症状。   ※2:努力呼吸 患者が必要量の酸素を吸入しようとして、胸をとりまく骨格を大きく動かしながら行なう呼吸。Y氏は、亡くなる前に呼吸がしずらい状態になっておられた。

続きを見る

【外部発表のご紹介】下肢装具検討会の実態調査

京都大原記念病院の総合リハビリテーションセンター前には、主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らが学会などで外部発表したポスターを掲示、ご紹介しています。 掲示している演題のうち、今回は当院での下肢装具検討会の実態調査に関する事例をご紹介します。     当院の下肢装具検討会の実態調査 ~下肢装具完成までの日数短縮に向けて~   吉田 新平(京都大原記念病院 理学療法士) 回復期リハビリテーション病棟協会 第33回研究大会 in 舞浜・千葉 2019年2月   脳卒中治療ガイドライン2015では、発症後できるだけ早期から十分なリスク管理のもとに積極的にリハビリテーションを実施することが強く推奨されています(グレードA)。そのうえで、長下肢装具(以下、長下肢)、短下肢装具(以下、短下肢)などを用いることは重要な手段の一つとなります。 脳卒中後遺症患者様などにリハビリテーションを提供する当院でも長下肢、短下肢を導入する方は多くいます。当院では、医師・理学療法士・看護師・義肢装具士・患者・(家族)が集まり必要性や仕様等の検討を行う「下肢装具検討会(以下、検討会)」を経て装具を作製しています。 より一層円滑に装具を作製していくために、まずは当院での実態把握をする必要があると考え、当院での入院から検討会開催までの日数、検討会から完成までの日数の実態調査と、どうすれば日数短縮が可能になるかを検証しました。   今回の対象は2015年4月から、2018年3月までに検討会を経て長下肢、短下肢を作製した脳血管疾患患者130名※1としました。入院から検討会開催までの平均日数やばらつきを算出し、Brunnstrom stage※2、表在感覚障害※3、深部感覚障害※4、高次脳機能障害、認知機能障害、担当理学療法士の経験年数の6項目との相関を検証しました。結果の要点は以下のようになりました。   1.長下肢は概ね入院から1か月以内、短下肢は入院から2ヶ月以内と3か月目以降に作製されている。 2.長下肢の入院から検討会開催までの平均日数は16日、入院から完成までは23日。短下肢の入院から検討会開催までの平均日数は55日、入院から完成までは63日。長下肢の入院から検討会と入院から完成までの平均日数の相関は強く(r=0.905;P<0.001)、検討会が早ければ装具完成が早い。 3.長下肢作製の遅延要因として、深部感覚障害と有意差が認められた。 4.長下肢、短下肢ともに表在感覚や深部感覚に障害がある場合は、ない場合に比べて作製が遅延する傾向が見られた。 5.担当理学療法士の経験年数1、2年目に比べ、3年目以上のほうが作製期間が短くなる傾向が見られた。   以上の結果を踏まえ「長下肢作製の遅延理由」「短下肢作製の傾向」について、以下のように考察しました。   【長下肢作製の遅延理由】 表在感覚や深部感覚に障害のある場合に遅延する傾向があることがわかりました(結果③④)。障害により、正常時と比べて具体的に立った状態での訓練イメージが持ちづらく、また介助の難易度が高くなりやすくなります。そのため、どのような長下肢にするべきか(仕様)、どのようにアプローチするべきかの判断に迷いが生じ、結果として下肢装具作製に必要な判断材料(理学療法士の意見)を医師に提示するのが遅れている事態が推察されました。1、2年目に比べ、3年目以上のほうが作製期間が短くなる傾向も見られたことから(結果⑤)、適切にリーダーや管理者がフォローする体制が必要と思いました。これを念頭に今後、体制を築いていきます。   【短下肢作製の傾向】 短下肢の作製期間は入院から2ヶ月以内と、3か月目以降に二極化しました(結果①)短下肢はリハビリテーション訓練を実施するための補助として(治療用)使う場合と、日常生活を送るための補助として(更生用)使用する場合などに分かれるほか、使用用途や作製理由が個別かつ多岐にわたります。理学療法士の意見がまとめづらく、医師へ下肢装具作製必要な判断材料(理学療法士の意見)提示の遅延に繋がっているのではないかと考えました。病棟生活や退院後の生活での使用用途を可能な限り早期に具体的に想定することが、主治医の早期作製判断に繋がると思いました。   今回の研究により当院の下肢装具作製期間の傾向や、遅延要因等の長下肢、短下肢装具作製家庭の課題への気づきも得ることができました。経験の浅い1~2年目の理学療法士等に対し、医師への判断材料提示に至るまでの考え方や行動、指導することが日数短縮に繋がるのではないかと考えます。今後はこれらを意識し、下肢装具作製・リハビリテーションを遂行していきたいと思います。   抄録はこちら   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー   ※1: 今回の研究では、長下肢作製後、短下肢を作りなおした(カットダウン)した方は対象から除外しています。   ※2:Brunnstrom stage(ブルンストロームステージ) 脳卒中などによる片麻痺患者の運動麻痺の程度を評価するための指標。Ⅰ(完全麻痺)~Ⅵ(ほぼ正常)の6段階で評価される。   ※3:表在感覚 触る・温かい・冷たい・痛い等がわかること   ※4:深部感覚 目をつぶっていても体の位置がわかる・方向がわかる等のこと

続きを見る

グリーン・ファーム・リハビリテーション® 2019年度シーズンいよいよ本格始動!

5月9日 日頃農業指導いただくタキイ種苗㈱の方も来院されて見守りいただくなか、多くの患者様とともに夏野菜の苗の植え付けと種まきを実施しました。この日扱ったのは、約15品目。トマト、ピーマン、ナスといった代表的な夏野菜をはじめ、成育とともに蔓がグリーントンネルを形成するきゅうり、ゴーヤ、モロッコインゲンなどです。グリーントンネルは各品種の茎が支柱やネットを伝って伸びてトンネルを形成するもので、毎年恒例の夏の風物詩となりました。    日よけとしてだけでなく、下から上へと成長するため車いすの方から、立って歩行できる方まで様々な状態の方に収穫いただける場所となります。また収穫だけでなく、誘引(支柱やネットと茎をくくること)作業などが発生し、グリーン・ファーム・リハビリテーションⓇのプログラムに活かしやすいことから設けている場所です。 [caption id="attachment_651" align="alignnone" width="300"] 茎がネットを伝って伸びる。やがてトンネルへ[/caption] 今後は大きく成長することを祈りながら水やりや成育に合わせて誘引作業などに取り組み、6月下旬からは少しずつ収穫が本格化します。今年も夏が楽しみです!   さて、この日は夏野菜の準備だけでなく、昨年も経験した酷暑対策などについても議論を重ねました。大原だからできる取り組みとして積極的に実施していますが、何よりも安全面が第一です。 かねてから意見交換を実施し、この日は遮光トンネルも設置しました。昨秋から準備した主要地点の温度計や、タキイ種苗㈱からも携帯型熱中症計も提案いただき、より一層安全に活動できる体制も並行して準備、検討を重ねています。 今後も安全を第一に、農業のプロの指導も仰ぎながら大原だからできるプログラムとしてレベルアップを目指して行きます。

続きを見る

【外部発表のご紹介】選択肢の可能性、リハビリテーションロボットの検証

京都大原記念病院の総合リハビリテーションセンター前には、主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らが学会などで外部発表したポスターを掲示、ご紹介しています。 掲示している演題のうち、今回はリハビリテーションロボットに関する事例をご紹介します。   維持期の患者に対しBionic legを用いた一症例   平石 佑介(京都大原記念病院 理学療法士) 第8回日本ロボットリハビリテーション・ケア研究大会 2018年10月     Bionic leg(バイオニックレッグ)とは、アメリカシリコンバレーで開発されたリハビリテーションロボットです。長下肢装具のように下肢に装着して使用します。足のセンサーにて、体重のかかり具合を感知し、膝の曲げ伸ばしをアシストする仕組みです。 脳卒中後の機能回復は発症後3ヶ月から6ヶ月にかけて機能回復を果たし、その後は水平状態(維持期)となると言われています。本機についても、回復期患者に対して効果を認めたとの報告が多いものの、維持期患者に対する効果の報告は少ないです。 そんななか当院で、脳卒中発症後4年経過した維持期患者に対して本機を用いる機会を得て、その結果「立ち上がり」や、「立位保持」の安定につながった症例を経験したので報告します。 症例は60歳代の女性。入院の4年前に左被殻出血を発症。右上下肢に痙性が見られ、当時、身体能力としては杖を用いて自立歩行できる状態であったものの、ひざの支えが弱く自信を持てない状態でした。 定期的にボトックス治療を受けており、今回もフォローアップの14日間短期集中リハビリテーションを目的として入院。本機を麻痺のある下肢に装着し、訓練に取り組みやすい状態として立ち上がり動作訓練、スクワット、段差を用いた荷重訓練を実施しました。入院中は1日1回20分間を基本とし期間中に7回取り組みました。 入院時と退院時に、運動麻痺の程度、バランス能力、歩行の安定性や転倒リスク、体幹の強度を見る、そして座った状態からの立ち上がり、歩行椅子からの立ち上がりを見る計7項目の評価を実施、比較しました。結果は以下の通りです。 運動麻痺の程度や、体幹機能については変化がありませんでした(①②④)。一方で、バランス能力(③)や歩行時の安定性や転倒リスク面でやや改善が見られました(⑤)。また方向転換を伴う歩行では、麻痺側を軸足とする右回りの結果で改善が見られ、本機を導入することでしっかりと訓練を実施できたことから右下肢の筋力が改善され、ふんばりが効くようになったことが考えられます(⑥)。これらバランス能力、筋力の改善に伴い、座った状態からの立ち上がりについても改善効果が示唆されたものと考えられます。(⑦)   かねてから、本機を用いたリハビリテーションが脳卒中片麻痺患者の歩行や立位バランスに影響を与えると示唆されています。また今回の症例ではClose Kinetic Chain(最遠位部の体節に自由な動きを制限する外力負荷がかけられた状態※)での膝関節屈伸反復運動、つまりスクワット運動をするような足の裏を地面につけた状態での立ち上がり、立位の安定に影響することが示唆されました。   本症例を通じBionic leg は回復期の患者だけでなく、「維持期」患者の立ち上がり・立位にも影響するものと考えられます。本機はアメリカで開発されたこともあり、サイズや重量(4kg)等は諸外国での臨床に適した仕様となっています。今回は症例報告に留まるが、今後、症例数を蓄積するなかで機器の適切な仕様についても検証、維持期に於ける選択肢として活用の幅を拡げて行きたいと考えています。  

続きを見る

【外部発表のご紹介】 現場での「慣れ」の可視化を目指して

京都大原記念病院の総合リハビリテーションセンター前には、主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らが学会などで外部発表したポスターを掲示、ご紹介しています。 掲示している演題のうち、今回は現場での「慣れ」の可視化を目指そうと取り組んだ事例をご紹介します。   NEURO-15対象者8症例の前方リーチでの考察   山崎龍之介(京都大原記念病院 作業療法士) 第9回 Stimuration Therapy 研究会 in 福井 2018年8月   臨床現場で、手の機能のみを測る評価点数に変化がなかった(FMA※1)のに、手で物を運びやすくなるなど動作がしやすくなったという患者からの訴えがあった。手の機能に変化が無かったにもかかわらず、物品操作に関する検査(ARAT※2、STEF※3、WMFT※4)の向上や、本人の感覚(VAS※5)も向上が見られた。その患者はもう一つの変化として、バランス能力(FRT※6)の向上も見られた。 「手が動かしにくい」というのは手の問題だけでなく、手の動きを改善するためには手だけでなく全身を診ることが必要ということは一般的に認識されている。そのため、自分の領域だけでなく、他領域での評価・検査結果をも鑑みた上で、プログラム構成を検討していく。ただし、これらの解釈過程は経験により培われていく部分が大きく、こと職員教育の場面では座学での講義研修だけでなく、OJTでの直接指導により「慣れ 」をサポートしている。しかし、全てのケースで円滑に進むわけでなく、困難な場面も多い。 このことから、改めてエビデンスを検証し、基準や相関性を可視化することで、今後の診療だけでなく、業務引き継ぎや教育という観点でも活用できるのではないかと考え研究に取り組んだ。   今回は2017年3月~11月のNEURO-15症例から、麻痺側上肢を90度前方に上げることができる8名を対象に、FRTをベースにした4種類の前方リーチの結果と、上肢機能検査や主観評価を実施。相関性を探ることを目的とした。 FRT(Functional Reach Test)とは、立った状態で90°前方に上げた手を、体をひねらずできる限り伸ばすことでバランス能力を検査する手法。正常か非正常かを分ける基準値(カットオフ値)は25cm。通常は麻痺が出ていない非麻痺側のみを測ることが多いが、今回は麻痺側と、更に座った状態の非麻痺側、麻痺側を加えた4種類を計測した。   入院時、カットオフ値を下回ったのは以下の通り。 立った状態の時、麻痺側で6例、非麻痺側で3例 座った状態で麻痺側で4例、非麻痺側では該当者なし   リハビリテーション訓練を経た退院時では以下の通りとなった。 立った状態の時、麻痺側で3例(▲3例)、非麻痺側で2例(▲1例) 座った状態の時、麻痺側で2例(▲2例)、非麻痺側で1例(+1例)   全体的にバランス能力の向上が見られると、患者本人の主観(VAS)は対象のうち2例で動きのしやすくなった(手の機能の向上)を感じている結果が見られた。 バランス能力の向上とともに、本人の主観や上肢操作能力が高まる傾向が見られ、上肢機能の評価時は全身的な評価が望ましいことが伺えた。 今回の研究においては、症例数が少なく、各検査とリーチの相関性に統計的な有意差は導きだせていない。しかし、今後は症例数を積み重ね、有効なエビデンスとすることを目標に研究を継続していきたい。   抄録はこちら /////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// ※1:FMA(Fugl-Meyer Assessment) 肩がどの程度回るか。肘や手首がどの程度回るか。また手首を回す時に、肩など他の部位も回ってしまっていることがないかを点数表を用いて評価する。上肢66点満点、下肢34点満点の計100点満点。今回は上肢に絞り66点満点で実施。   ※2:ARAT(Action Research Arm Test) 手を使い、持つ、握る、つまむなどして前後・左右・上下に物を運ぶ、それぞれの動作について完遂度と時間を評価する。   ※3:STEF(Simple Test for Evaluating Hand Function) 10種のサブテストによる広い範囲の上肢機能障害に対するテストを行います。検査台上で形状や重さ、材質の異なる10種類のパーツを把持・移動・離す一連の動作を左右の手を個別に行ない、それぞれにかかった時間をポイントに置き換えて評価します。   ※4:WMFT(Wolf Motor Function Test) 布をたたむ、缶を持ち飲む(動き)など、より日常生活上の動作に近い形で手の動きを評価する。   ※5:VAS(Visual Analogue Scale) 100mmの線の左端を「痛みなし」、右端を「最悪の痛み」とした場合、患者の痛みの程度を表すところに印を付けてもらう手法。今回は上肢機能についての課題に対し、どれくらいできたかを主観で示してもらった。   ※6:FRT(Functional Reach Test) 立った状態で90°前方に上げた手を、体をひねらずできる限り伸ばすことでバランス能力を検査する手法

続きを見る

長崎リハビリテーション病院の皆さまがご来院されました。

長崎リハビリテーション病院 栗原正紀 理事長など3名が視察にご来院されました。同じリハビリテーション医療を担う医療機関としての意見交換を目的とするものです。   当日は京都大原記念病院グループ 医療連携室長 三橋尚志(京都大原記念病院 副院長)の案内のもと、京都大原記念病院をはじめ、京都近衛リハビリテーション、御所南リハビリテーションクリニックなどの関連施設をご案内しました。 病院運営や人材の確保・育成に関する話題や、栗原先生が大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(JRAT)の代表でもいらっしゃることから災害時の対応等にも話題が広がりました。   当院は地域の特性上 2階建ての建物で203床(うち回復期リハビリテーション病棟172床)を運営しており、また廊下続きで介護老人保健施設、特別養護老人ホームが連なる形態となっています。 長崎の同院近隣ではこのような形態は珍しいそうで「このような施設ならではの動線やメリットはあるものですか?」とご興味をお持ちくださいました。特にリハビリテーション環境としてスタッフから「訓練室だけでなく、屋内外の敷地一体をフルに活用していることは大いにメリットと考えている。」ことなどをご紹介しました。   その後は自家菜園にも足を運んでいただき、農作業をプログラムに組み入れたグリーン・ファーム・リハビリテーション®の取り組みもご紹介しました。   病院運営に於いて常に悩みの種は「人材の確保と育成」。同院の近隣では、看護学校を卒業すると近隣の福岡などの他府県へ就職されるケースも多いそう。そんななかでいかにして優秀な人材を確保し、またしっかりと定着してもらえるために取り組んだ工夫などもお聞かせいただきました。   今後もこのような交流の機会を大切に、幅広い視点での病院運営を目指していきます。

続きを見る

【病棟レクリエーション】 立派な桜が病棟に咲きました。

京都大原記念病院の病棟内に立派なさくらが咲きました。病棟内の患者様にも季節を感じてもらえるようにと、毎月テーマを設けて飾り物をしています。今月のテーマは「桜」。お花紙で一つひとつ作り、サービスステーション前とデイルーム壁一面に見事に花開きました。花の数はゆうに300個を超える大作となりました。   飾りつけは季節感の演出だけではなく、病棟レクリエーションの一環でもあります。介護スタッフが中心となって、シンプルな動きで作業が完結できるよう準備し、ご希望の患者様にご参加いただいています。紙を折ってハサミで切り、広げて形を整える、手や指先を使った運動の機会となることを目指しています。 また、このおはな紙は小学校や保育園でも使用されているもので患者様の中にも懐かしいと言われる方もいらっしゃいました。紙が薄い分拡げる作業が難しい様子でしたが、時間さえあれば皆さん協力して仕上げていらっしゃいました。 作業をしていると、自然と会話が生まれ、患者様同士のコミュニケーションの機会ともなっています。患者様のなかには、作業療法プログラムの一環として行う方もおられます。作品を飾って楽しむ方もおられ、病棟内の良い共通の話題になっています。   回復期リハビリテーション病棟では1日最大3時間のリハビリ訓練を実施しますが、それ以外の病棟生活の過ごし方もとても大切です。病棟生活自体がリハビリの機会となるように、また季節感を楽しんでいただく演出として、多職種が協力して工夫しています。   また、12月には病棟全体でクリスマス会を開催しました。スタッフ一同、患者様とともにがんばって飾りつけをし、クリスマスの雰囲気をだせたと思います。職員主催ではありましたが、これまでにない盛り上がりをみせることができました。クリスマスツリーや、節分、ひなまつりなどの行事の飾り物作りが、今後も病棟の風物詩になればと思います。さて、来月のテーマは?どうぞお楽しみに。

続きを見る

【広報誌】和音4月号を発行しました!

京都大原記念病院グループが毎月発行する「広報誌 和音4月号」を発行しました!     ★詳しくはこちら

続きを見る