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【外部発表のご紹介】選択肢の可能性、リハビリテーションロボットの検証

京都大原記念病院の総合リハビリテーションセンター前には、主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らが学会などで外部発表したポスターを掲示、ご紹介しています。

掲示している演題のうち、今回はリハビリテーションロボットに関する事例をご紹介します。

 

維持期の患者に対しBionic legを用いた一症例

 

平石 佑介(京都大原記念病院 理学療法士)

第8回日本ロボットリハビリテーション・ケア研究大会 2018年10月

 

 

Bionic leg(バイオニックレッグ)とは、アメリカシリコンバレーで開発されたリハビリテーションロボットです。長下肢装具のように下肢に装着して使用します。足のセンサーにて、体重のかかり具合を感知し、膝の曲げ伸ばしをアシストする仕組みです。

脳卒中後の機能回復は発症後3ヶ月から6ヶ月にかけて機能回復を果たし、その後は水平状態(維持期)となると言われています。本機についても、回復期患者に対して効果を認めたとの報告が多いものの、維持期患者に対する効果の報告は少ないです。

そんななか当院で、脳卒中発症後4年経過した維持期患者に対して本機を用いる機会を得て、その結果「立ち上がり」や、「立位保持」の安定につながった症例を経験したので報告します。

症例は60歳代の女性。入院の4年前に左被殻出血を発症。右上下肢に痙性が見られ、当時、身体能力としては杖を用いて自立歩行できる状態であったものの、ひざの支えが弱く自信を持てない状態でした。

定期的にボトックス治療を受けており、今回もフォローアップの14日間短期集中リハビリテーションを目的として入院。本機を麻痺のある下肢に装着し、訓練に取り組みやすい状態として立ち上がり動作訓練、スクワット、段差を用いた荷重訓練を実施しました。入院中は1日1回20分間を基本とし期間中に7回取り組みました。

入院時と退院時に、運動麻痺の程度、バランス能力、歩行の安定性や転倒リスク、体幹の強度を見る、そして座った状態からの立ち上がり、歩行椅子からの立ち上がりを見る計7項目の評価を実施、比較しました。結果は以下の通りです。

運動麻痺の程度や、体幹機能については変化がありませんでした(①②④)。一方で、バランス能力(③)や歩行時の安定性や転倒リスク面でやや改善が見られました(⑤)。また方向転換を伴う歩行では、麻痺側を軸足とする右回りの結果で改善が見られ、本機を導入することでしっかりと訓練を実施できたことから右下肢の筋力が改善され、ふんばりが効くようになったことが考えられます(⑥)。これらバランス能力、筋力の改善に伴い、座った状態からの立ち上がりについても改善効果が示唆されたものと考えられます。(⑦)

 

かねてから、本機を用いたリハビリテーションが脳卒中片麻痺患者の歩行や立位バランスに影響を与えると示唆されています。また今回の症例ではClose Kinetic Chain(最遠位部の体節に自由な動きを制限する外力負荷がかけられた状態)での膝関節屈伸反復運動、つまりスクワット運動をするような足の裏を地面につけた状態での立ち上がり、立位の安定に影響することが示唆されました。

 

本症例を通じBionic leg は回復期の患者だけでなく、「維持期」患者の立ち上がり・立位にも影響するものと考えられます。本機はアメリカで開発されたこともあり、サイズや重量(4kg)等は諸外国での臨床に適した仕様となっています。今回は症例報告に留まるが、今後、症例数を蓄積するなかで機器の適切な仕様についても検証、維持期に於ける選択肢として活用の幅を拡げて行きたいと考えています。

 

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