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【外部発表のご紹介】下肢装具検討会の実態調査

京都大原記念病院の総合リハビリテーションセンター前には、主に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士らが学会などで外部発表したポスターを掲示、ご紹介しています。

掲示している演題のうち、今回は当院での下肢装具検討会の実態調査に関する事例をご紹介します。

 

 

当院の下肢装具検討会の実態調査

~下肢装具完成までの日数短縮に向けて~

 

吉田 新平(京都大原記念病院 理学療法士)

回復期リハビリテーション病棟協会 第33回研究大会 in 舞浜・千葉 2019年2月

 

脳卒中治療ガイドライン2015では、発症後できるだけ早期から十分なリスク管理のもとに積極的にリハビリテーションを実施することが強く推奨されています(グレードA)。そのうえで、長下肢装具(以下、長下肢)、短下肢装具(以下、短下肢)などを用いることは重要な手段の一つとなります。

脳卒中後遺症患者様などにリハビリテーションを提供する当院でも長下肢、短下肢を導入する方は多くいます。当院では、医師・理学療法士・看護師・義肢装具士・患者・(家族)が集まり必要性や仕様等の検討を行う「下肢装具検討会(以下、検討会)」を経て装具を作製しています。

より一層円滑に装具を作製していくために、まずは当院での実態把握をする必要があると考え、当院での入院から検討会開催までの日数、検討会から完成までの日数の実態調査と、どうすれば日数短縮が可能になるかを検証しました。

 

今回の対象は2015年4月から、2018年3月までに検討会を経て長下肢、短下肢を作製した脳血管疾患患者130名1としました。入院から検討会開催までの平均日数やばらつきを算出し、Brunnstrom stage※2、表在感覚障害3、深部感覚障害4、高次脳機能障害、認知機能障害、担当理学療法士の経験年数の6項目との相関を検証しました。結果の要点は以下のようになりました。

 

1.長下肢は概ね入院から1か月以内、短下肢は入院から2ヶ月以内と3か月目以降に作製されている。

2.長下肢の入院から検討会開催までの平均日数は16日、入院から完成までは23日。短下肢の入院から検討会開催までの平均日数は55日、入院から完成までは63日。長下肢の入院から検討会と入院から完成までの平均日数の相関は強く(r=0.905;P<0.001)、検討会が早ければ装具完成が早い。

3.長下肢作製の遅延要因として、深部感覚障害と有意差が認められた。

4.長下肢、短下肢ともに表在感覚や深部感覚に障害がある場合は、ない場合に比べて作製が遅延する傾向が見られた。

5.担当理学療法士の経験年数1、2年目に比べ、3年目以上のほうが作製期間が短くなる傾向が見られた。

 

以上の結果を踏まえ「長下肢作製の遅延理由」「短下肢作製の傾向」について、以下のように考察しました。

 

【長下肢作製の遅延理由】

  • 表在感覚や深部感覚に障害のある場合に遅延する傾向があることがわかりました(結果③④)。障害により、正常時と比べて具体的に立った状態での訓練イメージが持ちづらく、また介助の難易度が高くなりやすくなります。そのため、どのような長下肢にするべきか(仕様)、どのようにアプローチするべきかの判断に迷いが生じ、結果として下肢装具作製に必要な判断材料(理学療法士の意見)を医師に提示するのが遅れている事態が推察されました。1、2年目に比べ、3年目以上のほうが作製期間が短くなる傾向も見られたことから(結果⑤)、適切にリーダーや管理者がフォローする体制が必要と思いました。これを念頭に今後、体制を築いていきます。

 

【短下肢作製の傾向】

  • 短下肢の作製期間は入院から2ヶ月以内と、3か月目以降に二極化しました(結果①)短下肢はリハビリテーション訓練を実施するための補助として(治療用)使う場合と、日常生活を送るための補助として(更生用)使用する場合などに分かれるほか、使用用途や作製理由が個別かつ多岐にわたります。理学療法士の意見がまとめづらく、医師へ下肢装具作製必要な判断材料(理学療法士の意見)提示の遅延に繋がっているのではないかと考えました。病棟生活や退院後の生活での使用用途を可能な限り早期に具体的に想定することが、主治医の早期作製判断に繋がると思いました。

 

今回の研究により当院の下肢装具作製期間の傾向や、遅延要因等の長下肢、短下肢装具作製家庭の課題への気づきも得ることができました。経験の浅い1~2年目の理学療法士等に対し、医師への判断材料提示に至るまでの考え方や行動、指導することが日数短縮に繋がるのではないかと考えます。今後はこれらを意識し、下肢装具作製・リハビリテーションを遂行していきたいと思います。

 

抄録はこちら

 

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※1:

今回の研究では、長下肢作製後、短下肢を作りなおした(カットダウン)した方は対象から除外しています。

 

※2:Brunnstrom stage(ブルンストロームステージ)

脳卒中などによる片麻痺患者の運動麻痺の程度を評価するための指標。Ⅰ(完全麻痺)~Ⅵ(ほぼ正常)の6段階で評価される。

 

※3:表在感覚

触る・温かい・冷たい・痛い等がわかること

 

※4:深部感覚

目をつぶっていても体の位置がわかる・方向がわかる等のこと

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