お知らせ

リハの目標と成果報告_府立医大病院で症例報告会

京都大原記念病院グループと京都府立医科大学附属病院との症例報告会が7月24日、京都市上京区の同大学病院で開かれ、同グループのセラピストが2例について報告した。 会は急性期の治療を担う同大学病院と、その後の回復期の治療とリハビリテーションを執り行う同グループが、共通する患者の症例について相互理解し信頼関係を深める狙いで毎年開催している。   一例目は「心原性脳梗塞を繰り返した症例~自宅退院に向け移乗動作・食事獲得を目指して」と題して、京都大原記念病院の坂本拓矢作業療法士が報告した。患者は70代男性で、2010年ごろに最初の脳梗塞を発症で、昨年末にも外出中に発症し同大学病院を経て2月に大原に転院した。 左手足のまひや失語、嚥下障害などがあり、病院では▽トイレ動作や移乗が軽介助でできる▽基本的欲求の表出ができる▽お楽しみ程度の食事ができる―を目標にリハビリを実施。トイレ動作はおおむね一人介助でできるようになったという。   2例目は同グループ施設の一つ・御所南リハビリテーションクリニックの小野星弥理学療法士が「続・当院におけるパーキンソン病に対するリハビリテーション」と題して報告した。 患者は発症して7年目の60代男性。同大学病院で治療後発症4年目に同クリニックに通うようになり、さらに大原で2回にわたり、声を出して大きく体を動かすことで運動機能回復を図るLSVT®BIGを実施した。 病気に伴う振戦や動作緩慢は一定程度進行しているものの、LSVTの実施などでバランスが向上して歩行が可能になり、ADLを維持しているという。

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【地産地消の取り組み】 同志社女子大学より、調査研究の一環でご来院

当グループの地産地消の取り組みについてご興味をお持ちくださった同志社女子大学 齋藤 朱未 先生(生活科学部 人間生活学科 環境計画学研究室)が来院されました。 「医福食農」をテーマに掲げたセミナー等が開催されるなど関心は高まりつつも、実態調査・報告が少ないという病院給食における地場農産物の使用。実態を紐解き、その可能性や更なる展開について検討・考察することで、農村計画、農村工学という側面でも役立てることができるのではないかと調査の一環で来院されました。当日は、井上亜砂子 管理栄養士が取り組み状況をご紹介しました。 元は昨年度、齊藤先生が指導された学生が卒業論文制作の過程で来院されたことがきっかけのご縁。お互いにとって可能性を拡げていく機会となりますように。

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【京都新聞掲載】 回復期リハビリテーション病棟の現状と課題について三橋尚志副院長がインタビューにお答えしました。

2019年5月に回復期リハビリテーション病棟教会 会長に就任した三橋尚志医師(京都大原記念病院 副院長)が、回復期リハビリテーション病棟の現状と課題をテーマとしたインタビューにお答えしました。7月21日(日)京都新聞朝刊に、その記事が掲載されました。記事はこちらからご覧ください。(画像をクリックすると大きなサイズ(PDF)でご覧いただけます。

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雑誌「リハビリナース」に掲載されました!

本日(7/10)発行の雑誌 「リハビリナース」”編集部がおじゃまします”のコーナーで京都大原記念病院の記事が掲載されました! 井川玲子看護介護部長が「人材育成」と、子育てなどを踏まえた「働き続けられる環境づくり」についてコメントさせていただいたほか、農業をリハビリテーションに取り入れたグリーン・ファーム・リハビリテーション®もご紹介いただいています。ご興味ございましたら、ぜひご覧ください。 ◎リハビリナース(メディカ出版)ウェブサイトはこちら

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【2019年7月1日追記】(公財)日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価で認定されました(2019年4月5日付)

【2019年5月30日公開】 【2019年7月1日追記】   京都大原記念病院は2018年12月に(公財)日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価を受審し、この度、機能種別 本体審査:【リハビリテーション病院】、付加機能審査【回復期リハビリテーション】として認定されました。(2019年4月5日付) 病院機能評価とは、同機構が日本の病院を対象に、組織全体の運営管理および提供される医療について、同機構の調査専門員(サーベイヤー)が第三者の立場で中立的、科学的・専門的な見地から評価する仕組みであり、組織全体の運営管理および提供される医療について評価を行い、病院の位置付けや問題点を明らかにします。このことにより、病院のさらなる改善活動を推進し、病院体制の一層の充実や医療の質の向上に寄与されます。 審査内容は基本的な活動(機能)が適切に実施されているかを審査する「本体審査」と、専門領域で高度・専門機能について評価を受ける「付加機能審査」で構成され、当院は両審査を受審し認定いただきました。 全国の認定病院のうち、当院が認定された機能種別【リハビリテーション病院】は139病院、付加機能【回復期リハビリテーション】においては64病院となっています。 当院の取り組みが一定水準以上として認められたことを励みに、これからも継続して病院運営の継続的改善に努めて参ります。   京都大原記念病院 院長 垣田清人   【2019年7月1日追記】 審査結果報告書が(公財)日本医療機能評価機構ウェブサイト内に公開されました。ご興味がございましたら、こちらからご覧ください。 ■機能種別【リハビリテーション病院】審査結果報告書はこちら ■付加機能【回復期リハビリテーション】審査結果報告書はこちら   [caption id="attachment_679" align="alignnone" width="400"] (右から)垣田清人院長、三橋尚志副院長[/caption]  

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第56回日本リハビリテーション医学会学術集会 に参加しました!

今回の学会発表ではニューロリハビリテーションや再生医療についての報告が多くされていました。 ニューロリハビリテーションの報告では脳卒中の麻痺回復についての生理学的な知識の講演がされ、改めて学ぶことができました。また経頭蓋磁気刺激の効果として脳卒中後のリハビリテーションとして併用することで麻痺肢の機能を改善するだけでなく、磁気刺激をあてる部位を変更することで疼痛緩和や意欲向上にも効果があることを知ることができました。 再生医療については、症例報告が印象的で急性期の脊髄損傷症例(頸髄5番の完全損傷症例)に対して間葉系細胞移植を行い、その後急激に回復し歩行が可能になるまでになった報告がありました。その他、脊髄損傷13症例に間葉系細胞移植を行い、効果を得たという報告がありました。再生医療後の回復にはリハビリテーションとの併用が必要という意見が多く、具体的なリハビリ内容として運動学習をすすめる反復練習が必要で、プログラムを標準化していくことが重要という意見がありました。 磁気刺激の新たな活用方法や再生医療後のリハビリテーションなど、新たな知見を得て、これからのリハビリテーションを考えるきっかけになりました。 (理学療法士 S)   ■当学会にはグループ内からも多数参加しました。 ●京都近衛リハビリテーション病院 理学療法士 Y  詳しくはこちら ●御所南リハビリテーションクリニック 理学療法士S 詳しくはこちら  

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【外部発表のご紹介】グリーン・ファーム・リハビリテーション®における効果について~身体機能の改善に必要な実施頻度に着目して~

2015年から本格的に始動し、今では多くの患者様にご参加いただくようになったグリーン・ファーム・リハビリテーション®。活動が本格化した当時から大学病院、企業との共同研究事業として効果の実証に向けた研究活動にも取り組み院内外の学会などでも少しずつ成果発表を重ねています。 今回は2019年2月に開催された第6回京都府作業療法学会、2019年2月に開催された第13回京都大原記念病院グループ研究大会で発表した『身体機能の改善に必要な実施頻度』に着目しまとめた演題をご紹介します。 ※本記事の最下部より抄録がご覧いただけます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー グリーン・ファーム・リハビリテーション®における効果について ~身体機能の改善に必要な実施頻度に着目して~   2015年からグリーン・ファーム・リハビリテーション®のリハビリ効果について研究活動を行っています。2017年の研究では、脳血管障害により認知機能・前頭葉機能が低下した方にグリーン・ファーム・リハビリテーション®を実施した結果、前頭葉機能・精神機能面(活気)への効果がみられました。 農林水産省の報告では健康な高齢者が農作業を実施することで運動効果が得られるとあり、グリーン・ファーム・リハビリテーション®は身体機能面の改善にも効果が期待できると考えました。また、グリーン・ファーム・リハビリテーション®を実施するにあたり、身体機能の改善に必要な農作業の実施頻度は明らかでないため、改善に必要なグリーン・ファーム・リハビリテーション®の実施頻度を明らかにすることとしました。 今回の研究では、握力・バランス能力・歩行スピードについて、グリーン・ファーム・リハビリテーション®の実施群と未実施群の比較検討を行いました。対象は発症から3ヶ月未満の脳血管障害で運動麻痺を呈した男女4名です。実施群は68歳、69歳の男女2名、未実施群は76歳と86歳の男性2名です。 4名とも運動麻痺は軽度で、歩行が可能です。農作業は、種まき、誘引、間引き、水やり、草引き、収穫のいずれかを1回40分、週3~4回の頻度で1ヶ月間実施し、握力・バランス能力・歩行スピードの変化の確認と日常生活の観察を随時行いました。結果は、実施群は未実施群と比べバランス能力で良い結果がみられました。不整地での作業やリーチ動作がバランス能力の向上に有効であったと考えています。 今回の研究では、グリーン・ファーム・リハビリテーション®の効果として、従来のリハビリテーションに加え、複合的な身体機能が求められるグリーン・ファーム・リハビリテーション®を週4回40分/日の実施頻度で行うことで、握力、バランス能力、歩行スピードの改善がより得られやすいことが示唆されました。しかし、対象者の属性に差があることや事例数が少ない検証であり実施頻度の比較までは至っていないため、今後はその点もふまえ、引き続きグリーン・ファーム・リハビリテーション®のリハビリ効果について検証していきます。   ■抄録はこちら 第6回京都府作業療法学会 こちら 第13回京都大原記念病院グループ研究大会 こちら   ※写真は2019年4月の作業風景であり、本演題とは関係ございません。 ※グリーン・ファーム・リハビリテーション®は、医療法人社団 行陵会の登録商標です。

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ドクター登場!木村泉医師(内科) 「音楽療法とモ-ツァルト療法」

今春、着任された京都大原記念病院の木村泉医師(内科)のコラムをご紹介します。 音楽療法とモ-ツァルト療法 近年主に薬物や手術を使う通常の医療に対し、薬物や手術等に頼らない代替医療が盛んに行われるようになった。代替療法には嗅覚刺激を利用したアロマセラピ-、視覚を利用したカラ-セラピ-、その他多数のセラピ-が行われるようになったがその内容は玉石混合である。 一般に普及しつつある療法の一つに音楽療法がある。音楽療法とは音楽を用いた様々な療法の総称である。音楽療法は大きく分けると音楽に合わせて歌ったり踊ったり楽器を演奏したりする能動的音楽療法と音楽を聴くことを主とする受動的音楽療法に大別される。いずれもストレスやストレスを起因とする病気等の補助的治療として有効であると言われている。能動的音楽療法は適切な音楽療法士のもとで行われる必要があるが、受動的音楽療法は方法がわかれば各個人で施行が可能である。 受動的音楽療法の中で少し特殊ではあるがモ-ツァルト療法というのがある。これはモ-ツァルトの様々な音楽を聴くことによりストレスに起因する体調不良や病気を改善できるというものである。モ-ツァルト療法は埼玉医大短期大学名誉教授(専門は免疫学)で私の友人でもある和合治久氏がその有効性を提唱、研究成果を公表されている。 氏によるとモ-ツァルトの音楽には4000Hz付近の高周波数の音が含まれるものが多くこの作用で自律神経の不調が是正されるとのことである。従ってその効果は音楽そのものと関係が薄いとのことである。一般的にはモ-ツァルトの何曲かあるバイオリン協奏曲等が有効であるとのこと。結果心身をリラックスさせるベータ・エンドルフィンやメラトニンなどのホルモン様物質の血中での増加、NK細胞等の人体に有用な免疫細胞の活性化をもたらすとのことである。またモ-ツァルトの音楽を30分程度聞くと唾液中のIgA(免疫グロブリンで抗ウィルス活性がある)が増加することが証明されている。その結果体調不良改善やや感染症予防が期待されるようである。 CD等の音源があればどなたでも簡単にできるので、ぜひ一度お試しされたらいかがでしょうか。   【Profile】 木村泉(きむらいずみ) 日本循環器学会認定 循環器専門医 NPO法人 日本ホリスティック医学協会 理事 日本臨床音楽研究会 理事    

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副院長の三橋尚志が、一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会 会長に就任しました!

京都大原記念病院 副院長の三橋尚志医師が、2019年5月16日付けで一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会(以下、協会) 会長に就任しました。今回はその記念インタビューをご紹介します。   ―まずはこの度の会長就任おめでとうございます。率直な心境をお聞かせください。   大役を仰せつかり身の引き締まる思いですが、背伸びをせず自分ができることをしっかりとやっていきたいなという気持ちです。 協会には2003年から理事、2013年から常任理事として関わって来ました。協会としてはこれまで、診療報酬や実態調査の分野などに注力して来ていましたが、自分自身もこれまで関わる事の多かった「教育・研修」面をより一層充実していけるようがんばりたいと考えています。     ―当院は一般病院、老人医療、リハビリ医療へ回復期リハビリへと転換してきました。こうした転換を振り返るとどのように感じられますか?   私は1982年に医師になりました。当グループのスタートとほぼ同じ時期です。縁あって1991年に当院に着任した当初、病院としては「老人医療」が中心でした。 診療の中心は合併症を予防し、療養を支援することでした。しかし包括的なサポートが必要ななかで出来高制でしか対応できなかった点については「老人医療の限界」「出来高制でのジレンマ」も感じていました。 90年代から介護力強化病棟、完全療養型病床群が生まれ包括的に対応する仕組みが生まれ始めました。92年にリハビリテーション総合承認施設として基準をクリアしたことも非常にタイムリーだったように思います。(その後、2000年に回復期リハビリテーション病棟の制度化と同時に同病棟へ)私の専門は整形外科ですし、かねてからリハビリテーション(以下、リハビリ)には興味がありましたのでリハビリ医療を中心に展開するという方針には手放しで賛成しました。   ―当時、いろんな苦労や驚きなどはあったのではないでしょうか?   苦労した点を一言で言えば「人集め」です。病院として打ち出そうとする特徴の「リハビリ」の認知も低く、リハビリのために入院するという概念がありませんでした。急性期病院など医療関係者においても同様です。こうした背景もあり、患者さんにしても、看護師などのスタッフにしても集めるのはとても大変でした。 私自身も「リハビリの底力」に驚かされました。その当時、高齢者のリハビリはあまりクローズアップされていませんでしたが、大原でセラピストがやってくれていることを目の当たりにして「ここまでよくなるんだ」と驚いたのは今でも覚えています。 日本は平均寿命が世界一、医療レベルも高い水準です。しかし、当時は寝たきり患者も世界一多かったのではないかと思います。国もこれを背景に、90年代前後からゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略・1989-)、新ゴールドプラン(同・1991-)で「寝たきり老人ゼロ作戦」などの施策を展開されました。そのタイミングでの転換であったので、国の施策ともマッチしたものであったと捉えています。   ―現場では医師や、看護師、セラピストに混乱はなかったのでしょうか?   特に看護師はリハビリによって実際に状態が良くなる様子を近くで目の当たりにして意識が変わっていったように思います。 当時私を頼って手術を受けに大原に入院していただいた一人の患者さんからお叱りをいただいたことが印象に残っています。手術後にT字帯ではなくオムツを付けられたことで「こんな年寄り扱いして、こんな病院二度と来ない!」と強く言われたのです。 それまで寝たきりの患者様が多かった病棟では当たり前にしていたことも、目的や意思を明確に持って手術やリハビリを受けに来られている患者様にとっては相当のショックであったようです。以降は病棟内でも意識を変えて、看護師を中心に工夫してもらいました。有難いことに、その患者さんはその後も大原で入院して手術を受けられています。   ―そうした過程を経て現在の姿に至る京都大原記念病院の強みについてはどう捉えていらっしゃいますか?   当院は市街地から離れていて、人口が少なく、建物も老朽化してきている・・・決して恵まれた環境ではないかもしれません。 その条件下で、急性期病院などから紹介をしてもらうためには確実に結果を出していく事が必要でした。また、そもそも医療人として、わざわざここに来られた患者様に少しでもよくなって退院してほしい。そのような思いで取り組んで来ました。 当時紹介していただけたのは重症度の高い方や、認知症の方など難しいケースがほとんどでした。しかし、チームで協力して乗り越え、結果として現在まで受け継がれるノウハウが培われました。重度者や認知症に対する対応はいずれの職種も秀でていると思っています。   ―現在でこそ定着しているチームアプローチですが、そこにいたるまでの背景はどのようなものだったのでしょうか?   施設基準としてではなく、密にリハビリを実施しようとすればそれ相応にマンパワーは必要となります。当時は人手が少ないなか、みんなでなんとかやっていました。セラピストがおむつ交換や排せつ介助に入るなどもしていました。みんなで様々な苦労を乗り越えて来たことは、現在のチームアプローチの始まりだったと思います。 その頃、ある来客から「This is none of my business.(これは私の仕事ではありません)」という言葉を紹介してもらいました。例えば受付のスタッフが病棟を歩いていた時に患者さんから「●●してほしい」と声を掛けられた時に、「それは私の仕事ではありません」と断るのではなく、できる限り対応する、もしくは対応できるスタッフに伝達して要望に可能な限り応えるようにすることも大切であるという意味でかけられた言葉(皮肉)でした。 病院のような専門職集団では、つい自分の仕事の領域をつくりがちになります。しかしこの言葉もきっかけにチームで対応する精神が大切であると思うようになり、今でも学卒新人向けの院内研修などで必ず紹介するようにしています。 心がけという意味では、挨拶もその一つです。一人一人が職員として意識を持って顔を上げて挨拶することを、その当時から徹底しました。現在でも来客の方にお褒めいただくことが多く、誇らしく思っています。   ―特にカンファレンスなど医師がほぼ100%参加し、チームアプローチの象徴と思っています。当時からそのような雰囲気だったのでしょうか?   最近でこそ、カンファレンスにほぼ100%医師が参加していますが、はじめからそうだった訳ではありません。 カンファレンスは普段の患者の状態や様子、治療やリハビリの進捗、状態などを共有し、その後の目標や計画を検討する場ですが、回復期リハビリ病棟へ転換した当初は「他の仕事(検査など)があるので」などを理由に医師の参加は非常に悪かったです。基本的には意識の問題で、私自身もそこまで意識して参加できていませんでした。 しかし、ある家族から「なぜここに主治医がいないの?」と言われたことがありました。今思えば、カンファレンスに対する自分の意識を変える最初のきっかけだったかもしれません。医師の基本的な認識としては「医療は治療をするもの」という認識があったこと、そもそも回復期リハビリへの理解が乏しかったことも参加の悪さの背景にはあったと思います。 常々思うのは「理念なきリハビリに未来はない」ということ。当院での理念は「自立支援」に尽きます。この理念を真のものにするためには、より生活に踏み込んだ関わりが必要です。カンファレンスへの医師の参加は必須と考え、15年ほど前に業務命令でカンファレンスを実施する夕方に救急対応以外の医療行為は入れないというスケジュール管理を徹底しました。それから医師の参加は定着し、現在では100%参加することはもちろん、医師がカンファレンスの司会をしています。   ―近年、回復期リハビリ病棟は量的には整備されつつあり、今は「量」から「質」へと重点はシフトしてきている。   2008年に診療報酬で「在宅復帰率」が導入されて以降、次々と「質」の評価が取り入れられました。2016年に導入された実績指標(FIM)は素晴らしい仕組みですが、それを上げることが目的ではなく、あくまで目的は患者自身の状態が良くなり家族の介護負担が軽減することであることが第一義であって、実績指数を達成することが目的ではありません。 客観性を持って評価することが大切であり、実績指標は浸透して然るべきです。目的を間違えないようにしなくてはいけません。病院スタッフ側もこの指標に振り回されることはあってはならないと思います。   ―最後に、この記事をご覧頂いている方にメッセージがあればお願いします。   一人の医師として、さまざまな医療現場を経験し、常々「医師は患者さん、スタッフに教育してもらっている」と痛感しています。これは個人だけでなく、病院も同様です。様々なご意見やご助言をいただくからこそ、日々向上していけると考えています。 幸いこれまで多くのご指導や、ありがたい評価もいただきながらこれまでやってこれました。全国には志高く、さまざまな取り組みをされている医療・介護現場はたくさん存在しています。そうしたところからも多くを学び、現状に満足せず日々向上を目指して行きたいと思います。 ぜひ、これからも細かな部分から忌憚のないご意見をいただければと思います。今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。       【Profile】 三橋尚志(みつはしたかし)   ■役職等 京都大原記念病院 副院長 京都大原記念病院グループ 医療連携室 室長 一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会 会長   ■資格等 日本リハビリテーション医学会指導医 日本整形外科学会指導医 日本リウマチ学会指導医

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今年もおいしそうに焼けました!集団アクティビティ訓練「ピザ作り訓練」

リハビリテーションの一環としてピザ作りに挑戦する「集団アクティビティ訓練~ピザ作り訓練」を5月23日、京都大原記念病院で開催しました。   ピザ作りイベントは体の現状把握に加え、実際に調理を行うという行為の中で潜在能力を発見し、さらに患者相互の交流も図る狙いで毎年開催しています。京都大原記念病院で日々リハビリテーションを受けている患者7人と担当の療法士、管理栄養士など計約20人が参加しました。   訓練は午前中は生地作り、午後のトッピング・焼きの2部構成で行われました。午前の部の生地作りは約1時間、担当療法士の補助のもと全身を使ってしっかりとこねていただきました。4時間ほど寝かした後、午後の部として再集合し、生地を伸ばしてソースと自家菜園で獲れたサヤエンドウやトマトなどを思い思いにトッピング。自家菜園の横に設けた石窯でじっくりと焼きました。徐々にスタッフも経験を積み、とても美味しそうに焼き上がりました。   「ピザを作って食べる」という明確な目的に向けて、楽しそうに、また意欲的に参加されている参加者の姿がとても印象的でした。晴天に恵まれた自家菜園のテントで、自然を感じながら食べる一から作ったピザは格別の味だったようです。とてもおいしそうに召し上がっておられました。  

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