【外部発表のご紹介】ボツリヌス療法での長期的なフォローを行い、片ロフストランド杖歩行自立に至った症例
よりよいリハビリテーションの提供を目指し、日々の現場だけでなく研究活動や、学会発表などに取り組んでいます。今回は8月に参加した「第1回日本スティミュレーションセラピー研究会」で発表した演題についてご紹介します。(抄録は記事最下部よりご覧いただけます)
ボツリヌス療法での長期的なフォローを行い、
片ロフストランド杖歩行自立に至った症例
- 花岡涼平(京都大原記念病院 理学療法士)
- 第1回日本スティミュレーションセラピー学会 2019年8月
脳出血発症後、早期に左上肢、両下肢にボツリヌス療法を実施し、継続したリハビリフォローに取り組んだ結果、片ロフストランド杖で自立歩行できる状態へ至った症例を経験しました。ボツリヌス療法は疾患別リハビリ期限を超過した患者など、発症から相当に時間が経過し痙縮や拘縮が見られる症例に実施することが多く、またその報告の多くは歩行器を使った歩行自立までです。
今回の症例は、発症後早期に取り組み、歩行器自立後も長期的な症状が改善し、左ロフストランド杖歩行自立まで改善が見られました。このことから他症例に対する治療手段の1つになりうる可能性を感じ、各リハビリテーション記録、家族指導記録、生活歴を振り返ることで分析し、まとめました。(以下、一覧を表で示した後、個別のご説明となります)
- ※表はクリックすると大きく表示されます。
今回の症例はX年12月に右視床に出血(脳室穿破)を発症。翌X+1年1月 左前頭葉の出血(左前頭葉出血)、放線冠周囲に脳梗塞を発症されました。その結果、左半身の上肢・下肢が動かせず(左上下肢麻痺)、右側の下肢も感覚が鈍く動かしづらい(右下肢肢不全麻痺)状態となっていました。
この方は、発症されたX+1年3月に京都大原記念病院へ転院されました。その際には、立った姿勢を保持するのに全面的な介助が必要な状態でした。翌X+1年4月、7月の計2回ボツリヌス療法を実施して訓練された結果、平行棒の中を介助されながらも歩行されるようになりました。その後、他医療機関を経て施設に入所されます。
入所先から、X+3年4月当グループの御所南リハビリテーションクリニックで外来リハビリ開始すると、歩行器を用い介助を受ければ歩行できるようになりました。X+3年12月には歩行器を使えば自立して歩行できる状態となったことから自宅へ退所されました。
以降、X+4年1月以降、ボツリヌス療法を計5回、月1回外来でリハビリ訓練を継続された結果、X+4年12月には左ロフストランド杖を用いれば自分で歩行できる状態になりました。
本症例は発症(X年12月)から約4ヶ月(X年4月)の早期段階からボツリヌス療法とリハビリ訓練を実施した結果、歩行器自立した後にも機能障害の改善が見られ左ロフストランド杖歩行自立に至りました。個別症例により効果等は検証する必要があるが本結果を踏まえ他症例に対する治療手段の1つとなりえるものと捉え、今後も各方面から検証して行ければと考えています。
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