農業とリハビリ 

こだま文様umebachi 臨床の現場から
医師が見る
グリーン・ファーム・
リハビリテーション®

京都大原記念病院

木村 彩香 医師(神経内科)

効果的なリハビリテーションを行うには患者様自身の「やる気」が大変重要です。

認知機能の低下(物忘れ)のためリハビリテーションで実施している訓練の内容がなぜ必要であるかを正しく理解できなかったり(例えば、「手の動き」をよくするために洗濯ばさみをいくつも棒にはさんでいく。 丸めてある紙を広げるなど)、つまらなくて積極的にリハビリテーションに取り組めない場合もあります。

医師も農園で農作業の様子を見に来ます(木村彩香医師)

グリーン・ファーム・リハビリテーション®は、屋外で畑を通してリハビリテーションを実施します。収穫作業などを通し「トマトを収穫しよう」「今日はきゅうり収穫しよう」という目で見てもわかる明確な目標があると、患者様は自分から収穫しようとがんばってくださいます。

「収穫」という動作には
「移動能力」(車いすでも畑には行けますが、歩行可能な方は屋外の不整地な道を歩く訓練になります。)
「高次脳機能」(どの野菜が熟していて収穫に適しているかを判断する。)
「バランス」(収穫する野菜に手を伸ばした時にバランスをとる。)
「手の動き」(野菜に到達するまでの距離を把握して手を伸ばします。また、野菜を収穫するときには野菜を持って鋏で切る、または引っ張る動作が必要です。)
など様々な能力が必要であり、自然にそれらのリハビリテーションを実施することができます。

また「収穫」だけでなく、「苗を植える」「水をやる」「間引く」などもグリーン・ファーム・リハビリテーション®は実施しています。

従来のリハビリテーションでは「やる気」が出にくい患者様もグリーン・ファーム・リハビリテーション®では「よし、あの野菜を収穫するぞ。」と「やる気」をもって取り組んでいただける例も多くみられます。

こだま文様umebachi 楽しみながらできる
リハビリテーションの魅力

実際に屋外の自家菜園に出て、農作業をした患者様からは年齢に関わらず「またしたい」といった満足感が高い声を頂いています。認知症によって季節を感じにくい患者様も、育っている野菜から季節感を感じる時があります。

農作業に伴う運動にも注目しています。農作業は強い運動負荷量のある作業にも関わらず、楽しみながらできる作業としての魅力があると考えています。 野菜の生長を目で見て楽しみながら行い、屋外で日照を浴びた患者様からは「いい汗をかいた」と運動後の充実感が伺える発言を耳にすることがよくあり、職員もその表情の変化に驚くことがあります。

野菜が育つのを見るのも楽しみに

収穫した野菜を使用した調理訓練を行うこともあります。自分で収穫した野菜を使うと普段行っている調理練習よりも楽しさが増すようです。

自家菜園に隣接して行われている園芸作業も患者様に好評です。実際に採ってきた切り花を花瓶にいれてアレンジメントを楽しむ方もいます。