お知らせ

リハビリ支える 管理栄養士

患者様の社会復帰支援を目的とする回復期リハビリテーション(以下、リハビリ)病棟には、身体状態と栄養状態をセットで考えながら、リハビリを行っていく事が重要視され、その一部を担う「管理栄養士」の役割が再認識されています。患者様一人ひとりに合わせた対応が実践されるよう2020年4月の診療報酬改定では、病棟ごとの管理栄養士専任配置が「必須」になりました。そこで今回は京都大原記念病院(以下、記念病院)で日々活動する梶谷理恵さんに、過去のさまざまな変化を踏まえた管理栄養士の役割をテーマに話を聞きました。

 

  • 栄養面から効果手助け

  • 患者様ごとのかかわり密に

4病棟172床で構成される記念病院の回復期リハビリ病棟には2018年から各病棟に管理栄養士が専任配置されました。管理栄養士の業務は大きく分けると、毎日の食事を安全に提供するための「給食管理業務」と、患者様の栄養状態を良好に保つための「栄養管理業務」の二つです。病棟配置前は、管理栄養士2名で業務を行っていたこともあり、患者様一人ひとりに密に関わることはなかなか難しかったのが実情です。

回復期リハビリ病棟では、1日最大3時間の大変ハードなリハビリを行います。また、活動量も大きく変化します。しっかりとリハビリを行うにあたり、その方に見合った栄養が担保されていなければ、体重が減少してしまったり、リハビリの効果が出にくくなってしまったりと、患者様も医療者側も望まない結果につながってしまいます。実際、そのような実態を示すデータなども公表されています。専任配置が必須となったのもこうした背景があってのものと理解しています。

 

  • チーム医療を基に計画

  • カンファにも出席、発言

私たちの仕事の中身も変化してきました。例えば、リハビリテーション総合計画書(以下、計画書)に栄養の項目として、栄養状態や、必要栄養量、摂取栄養量などの項目が追加されたことが分かりやすい変化です。当院では入院されると、医師を中心としたチームで、検査や評価、お話を伺うなどして入院中の目標をはじめとする、治療などの指針として計画書を策定しますが栄養項目についても、その指針に基づいて検討することが求められます。これを全体計画とし、栄養管理計画書(以下、栄養管理計画)に具体的に必要なエネルギー量などを落とし込み、実際の食事内容に反映していきます。栄養管理計画は、食事量や体重の変化等をはじめ、個々の状態に合わして週1回~月1回の頻度で見直しを行っています。その根拠となるものはチームで共有する情報です。医師・看護師・セラピスト・介護職など患者様に関わる全てのメンバーで、体調や、リハビリの進捗、活動量、食事量、体重の変化などを共有しながら検討を行っています。

まさにリハビリはチーム医療と感じます。他職種との関わりのなかで「視点」も変化してきました。カンファレンスなどに出席し栄養や食事の摂り方(形態など)について発言する機会も増加しました。これまでと比べて、栄養面についての議論が周囲から上がる機会も増え、院内での栄養に対する意識も変わってきていると思います。

  • 退院後の生活も提案

  • 嚥下や咀嚼、容体に合わせ

ただ、一番変わったのは私たち自身の意識かもしれません。以前は栄養という切り口のみを重点的に患者様のことを考えていたように思います。もちろん、専門職として、栄養状態をしっかり見ながらプランを考える事は大切ですが、それだけでなく、一人の患者様を支えるチームの一員として、退院後の生活がより良いものになるためにはどうしたら良いかを考えながら日々の業務にあたるようになりました。こうした考え方を管理栄養士間でしっかり共通認識する目的で、2019年に入院から退院までの流れにおける管理栄養士としての関わりをイメージ化する取り組みを開始しました。まだ途中段階ですが、管理栄養士としての役割をよりチームの中でさらに発揮できるようにしていきたいです。

また、私たちの大きな役割の一つに退院支援があります。入院中はその方の状態に合わせて病院が食事を準備しますが、退院後はそうはいきません。環境に応じてご本人(ご家族など)で準備する必要があります。飲み込みに問題がある方にはどういう食事形態が良いか、かむ力の弱い方が食べやすい食事はどういう食材・調理方法か、再発予防のための食生活支援など、退院後の生活がより良いものになるためのサポートも大切な役割です。私達も思考を柔軟にし、一人ひとりに寄り添ったより良い提案ができるように、専門職としての幅を広げていきたいと考えています。

栄養科では「私達は、利用者のニーズを尊重し、『食』と『栄養』の専門職として、知識と技術を磨き、健康な生活の実現に貢献します」、という理念を掲げています。私たち管理栄養士は、栄養を食べ物で表現できる唯一の存在です。これからも、栄養と食事の架け橋の役割を担い、励んでいきたいと思います。食事や栄養、食べ方のことで悩みがあれば私たち管理栄養士にも気軽にご相談ください。

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