お知らせ

18年間の感謝、そしてこれからの挑戦へ|垣田清人医師

2025年4月をもって、児玉直俊 新院長にバトンを渡すことになりました。2007年4月に院長に就任してからの18年間、多くの方々に支えられてきました。患者様、ご家族、職員の皆さん、そして関係者の方々に心から感謝申し上げます。

医師としてのスタートは脳神経外科でした。当時は、まさに「交通事故戦争」とも言える時代。頭部外傷の患者様が次々と運ばれ、昼夜を問わず治療にあたる毎日でした。命の危機を乗り越え、回復した患者様やご家族の笑顔を見ることは、何ものにも代えがたい喜びでした。還暦近くになると、長時間や深夜の手術など、自分の体力や働き方について考えるようにもなりました。そんな時に児玉博行理事長に声をかけていただき、京都大原記念病院に来ることになったのです。

当時は、回復期リハビリテーション病棟が制度化されて間もない頃で、特に神経疾患(脳血管疾患や神経難病など)のリハビリテーション医療が活発になり始めた時期でもありました。急性期の治療後も患者様と向き合い、その後の生活までさせられることに、大きなやりがいを感じました。脳神経外科の知識を活かしつつ、新しい視点でリハビリテーションに取り組むことができました。

さらに、磁気刺激治療(rTMS治療)やボツリヌス治療、LSVTなどの新しい治療法を導入し、近年は大原の環境を活かした「グリーン・ファーム・リハビリテーション」にも取り組んできました。セラピストたちと積み重ねてきた挑戦の成果として、寝たきりで入院された方が歩いて退院する姿を何度も見てきました。これはまさに「リハビリテーションマインド」の力だと実感しています。市街地から遠く、建物の老朽化という課題がある中でも、多くの患者様やご家族に選び続けてもらえたのは、この積み重ねがあったからこそだと思っています。

こうした物理的な課題が、2027年の新築移転によって解消されます。京都の一等地に生まれ変わる新しい病院に、私も大いに期待しています。ただ、どれだけ施設が新しくなっても患者様に寄り添う姿勢がなければ意味がありません。これからもホスピタリティの質を高め、「ここでリハビリテーションを受けてよかった」と思ってもらえる病院であり続けることが大切だと思っています。

私はこれまで、「院長」という肩書きより、むしろ「現場の医師」として歩んできました。今回の組織再編で院長職を離れますが、今後も現場の臨床医として患者様と向き合い続けるつもりです。特に、施設も含めACP(アドバンス・ケア・プランニング)の視点を大切にし、患者様が「いい人生だった」と言える生活を送れるよう、サポートしていきたいと考えています。そして、私自身も「やるべきことをやり切った」と思えた時に、自らの意志でキャリアを終えるつもりです。それまでは、まだまだ現場に立ち続けます。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

2025年05月09日
2027年に向けて京都大原記念病院の「これから」を考える
2025年05月08日
5月8日「グリーン・ファーム・リハビリテーション🄬」を実施しました
2025年05月07日
ウェブサイトを部分リニューアルしました!