リハビリレポート

ギランバレー症候群とリハビリ-筋力低下の難病克服へ-

日も早い回復を願って、毎日一生懸命にリハビリに取り組む患者さんの日常をご紹介する「おおはらリハビリ日記」のコーナー

今回はYさん30代(取材当時)・男性に話を伺いました。

2015年8月31日(月)

▼ 筋力低下の難病を克服へ食事動作や立ち座り楽に

末梢神経が侵され全身の筋力が低下する難病「ギランバレー症候群」にかかりました。体幹と四肢、発声について、治療後のリハビリを受けています。

作業療法では手先の動きをよくすることから始めます。微弱な電流を流しながら指を握ったり広げたり、親指と小指をくっつけたり、手首を支点に手先を反らせるなどの動きです。ボールやスポンジを握ったりもします。指はかなり曲がるようになって手のひらに付くようになりました。左利きのせいか親指の動きは左のほうが良いようです。

一個250グラムの木製ペグ(円柱)を木枠に入れたり出したり、ポータブルスプリングバランサーという器具で左手を吊り上げながらプラスチック製三角すいを移動させたりもします。生活動作についてはジャージを一人で着られるようになり感激しているところです。療法士さんからは「食事と歯磨きは手の装具を使ってできるようになりました。次はトイレ動作と着替えですね」と励ましてもらっています。

理学療法では車いすや歩行器を使わずに自力で歩くことを目標に、足と体幹を見てもらいます。ひざの曲げ伸ばしから始まって、バランスボールをひざの後ろにはさんで足を上げたり、バランスディスクに座って腰を前後左右に動かしたりします。筋力トレーニングの部分が多いので、結構こたえます。歩行訓練ももちろんあります。車いすからようやく歩行器に移行した段階なので、補助具なしで歩くのはやはり恐怖を感じます。療法士さんには「最初は座るだけでもしんどかったのが、立ち座りがバランスを取ってできるようになりました」と言ってもらっています。

言語聴覚療法では口唇マッサージと口の体操です。私は右唇の感覚が弱くうがいをすると右側から水が漏れていました。また頬を膨らませると息漏れがありました。そのため口唇がスムースに閉じられるよう、特にマ行音とパ行音の発声を見てもらいます。またペットボトルの水にストローで息を吹き込むブローイングをできるだけ長くするようにしています。おかげで以前得意だった口笛がまた吹けるようになってきました。

▼ 普段の生活がリハビリにできること増える楽しさ

2月2日朝、目が覚めると物が二重に見えました。ギランバレー症候群の症状の一つである「複視」で、眼球の筋力低下によって生じます。私は21歳の時にもこの病気を患っていましたので、再発したと分かりがく然としました。当日入院しました。進行は早く、その日のうちに手足が動きにくくなり、翌日には呼吸困難になり、それからICU(集中治療室)で2か月半寝たきり状態でした。

2月中は意識がもうろうとし、鎮痛剤を打ってもらいながら痰を吸引してもらう状態でした。3月になって、連続投与してもらった血液製剤の成果か、意識と耳はしっかりしてきました。そこで横になりながらも上下肢の曲げ伸ばしや筋肉のリハビリテーションを開始しました。やがて介助付きなら車いすに乗れるようになり、4月半ばには一般病棟に移りました。その頃主治医から京都大原記念病院への転院の提案があり、リハビリスタッフが多く土日も受けられることから6月10日に転院しました。

大原ではベッドで過ごすより車いすに乗って活動する時間のほうが長くなりました。「普段の生活そのものがリハビリテーションの一環」という空気が流れているようです。リハビリでも一つのことができるようになるとすごく評価してくださいます。精神的に支えてくれる人が多いことがうれしいです。

大原に来たときは、自力で起きることさえできず、生活の大部分で介助が必要でした。ここでは新しいことに挑戦させてくれるので、できることが増えていくのが楽しみで、「よくここまで来たなあ」と自分でも感動しています。秋の復職に向けて、さらにリハビリに力を入れたいと思います。

▼ リハビリテーションプロフィール

ベッドから起きる時に体を支えるので右手親指の付け根が傷む。リハビリの時間にもみほぐしてもらうが、筋力の回復が課題だ。それでも普段の移動には車いすから歩行器に替えた。「まだ慣れませんが」と言いながらも満足げな表情を浮かべる。ひげ剃りも自分で電気カミソリを使ってできるようになった。できることが増えていき、リハビリにますます意欲が出てきた。病院の廊下のうち130メートルをコースに決めて車いす走行するなど、自主練習にも積極的だ。

広告会社の営業職として、車で注文を取りに回るのが主な業務内容だった。会社の同僚とはフットサルをしたりする家族的な雰囲気だった。現在は休職中。以前と同じ仕事ができるかどうか分からないものの、秋までには自立歩行できるようになって復職したいという。

12月には待望の長男が生まれたが、あまり触れあう機会がないまま病気に倒れた。元気な時はドライブが趣味で、夫婦で日本中を回った。将来は家族3人でのドライブに夢を膨らませながら日々のリハビリに取り組んでいる。

前回のお話はこちら ⇒ 大腿骨骨折とリハビリ -円滑に歩けることを目指して-

次回は10月1日にご紹介いたします。

-当グループの広報誌“和音8月号”でも紹介しています。ご意見やご質問はこちらにお寄せください-

京都大原記念病院 総合相談窓口

TEL:075-253-1328 FAX:075-253-1329

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