リハビリレポート

長く記憶消え歩行困難に 杖なしで歩く自主練習も

一日も早い回復を願って、毎日一生懸命にリハビリに取り組む患者さんの日常をご紹介する
「おおはらリハビリ日記」のコーナー

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今回はTさん60代(取材当時)・男性に話を伺いました。

 
▼長く記憶消え歩行困難に 帰宅見据え足と体幹鍛錬
視神経脊髄炎と慢性腎不全の持病で倒れ、その後4カ月間の記憶がありません。おそらく寝たきりだったのでしょう。そのせいで筋力が落ち、普通に歩けない状態です。歩行と家事動作が支障なくできるよう、京都大原記念病院でリハビリに取り組んでいます。
 
ここではリハビリの内容もマニュアルをなぞるだけでなく、療法士が試行錯誤しながら考えて組んでくれます。目的意識がはっきりしており、理論的に説明してくれるので、分かりやすく励みになります。やり過ぎたり危険だったりすると止めてくれますから、その点でも安心です。
 
理学療法の時間はストレッチから始めてもらいます。ふくらはぎなどが凝っているので痛いけど気持ちがいいです。理学療法士は「歩きすぎると、足の力が弱いため、膝にロックがかかり、腿の前面に疲れがたまりやすいです」と説明してくれます。仰向きになってのお尻上げや階段の上り下りもあります。
 
作業療法の時間には膝立ちで歩いたり、マット上に散らしたお手玉を、腰を屈めながら拾ったり、遠くに置いたりと、腰回りや体感を鍛えてもらっています。家に帰ると立ち座りや食事、家の中の段差を超える時など、多くの場面で必要になる箇所です。おかげで、手すりさえついていれば移動に不自由はなく、食事もトイレも自分でできます。ただ自宅の浴槽は深いので、これがネックになっています。
 
言語聴覚の時間は見本と同じ図形を作るパズルや、まとまった文章を読んで内容を把握し伝えることなどの内容です。記憶のない期間が長く脳が損傷を受けた可能性があります。そのためか頭を使うと目の前に白い膜のようなものがかかってきます。脳に酸素が回らなくなっているのかもしれません。文章の読解では、細かい部分はまだまだですが、大まかには把握できるようになりました。
 
▼生活動作はおおむね可能 杖なしで歩く自主練習も
6月20日ごろの午後、自宅の上りかまちに腰かけてタバコを吸い終わって、立ち上がろうとしても腰が持ち上がりません。驚いて妻を呼んで救急車で、以前からかかっていた病院に搬送してもらいました。病院に着いて薬を飲んだあたりまでは覚えています。
 
次に目が覚めて記憶がよみがえったのは10月初めでした。その時は歩行もままならず、車いすを使っていました。病院からはリハビリを専門に行うようにと京都大原記念病院を紹介され、同月中旬に転院しました。
 
大原に来たときは車いすに乗っていました。夜間のせん妄(睡眠障害や幻覚・妄想などの症状)があり「家に帰れるんやろか」と不安だらけでした。その後は療法士の指導でリハビリを続ける中で症状も改善し、車いすから杖歩行に移行することもできました。
 
何も持たずに歩く練習やスクワットなど自主練習もしています。気分転換代わりに屋外に出ますが、寒い中から再び暖房の効いた室内に戻ると、血管が開く感覚があって健康にも良さそうです。自宅の浴室には約2kgの台があり入浴時には動かさないといけないのですが、だいたいできるようになりました。
 
記憶のない4カ月間のことは、医師も家族も話してくれないし、私からも聞かないことにしています。思い出せないものは仕方ありませんし、これからのことに目を向けて、リハビリに取り組んでいきたいと考えています。
 
▼リハビリテーションプロフィール
Tさん(60代、宇治市)
リハビリのメニューを一つこなすたびに血圧を測る。転院してきた当時は血圧が低くて、あまり活動できなかった。11月ごろから数値が安定し、リハビリにも前向きに取り組めるようになったが、今度は上がり過ぎないように、心がけている。帰宅後に備えて、測定を習慣づけるよう心掛けている。
 
食品卸の会社に勤めていた。ラーメン、缶詰、冷凍食品など、仕入れから販売まで取り扱ってきたが54歳で辞め、1年ほど経てタクシー運転手になった。知らない人とでも気軽に話ができる性格が幸いし、乗客と一緒に観光させてもらうのが楽しかったという。7年ほど運転して退職。以後もドライブは好きで、郷里の高知市や広島県、長野県へも訪ねてきた。
 
その後の第一の趣味は狩猟だった。琵琶湖のカモや、丹後・経ヶ岬、宇治田原町、右京区京北でイノシシを狙う。「寒い中でじっとしていないといけませんが、獲物の気配を感じるとドキドキします」と楽しさを口にする。

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